「顧問弁護士」という言葉はよく耳にするかもしれませんが、実際、顧問弁護士とは、どのような仕事をするのか、会社にとってどのようなメリットがあるのか、ご存知ない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回のコラムでは、「顧問弁護士」について解説したいと思います。
顧問弁護士のメリット
「顧問弁護士」とは、弁護士と会社とが継続的な契約を締結することで、会社に何かあったときに気軽に、迅速に相談を受け、会社を継続的にサポートする弁護士です。
予約せず、いつでも気軽に相談できる
通常は、トラブル等が生じて弁護士の助言が必要になったとしても、例えばインターネットで弁護士を検索し、または知人に弁護士を紹介してもらい、電話またはメールで面談の予約を取って、ということが多いのではないでしょうか。
そうすると、実際に相談を受ける日が1週間後になってしまったり、急を要する事態に迅速に対応できなくなります。
その点、顧問弁護士は、常に会社と弁護士とがコミュニケーションを取れる環境を設定するため、何かの際に迅速に対応を求めることが可能です。また、弁護士に依頼するほどではないものの、取引先との間で小さなトラブルがあり、対応に困っているといったときも、その取引先とのやり取りの度に相談したいということがあるかと思います。
これも電話やメールなどで、気軽に相談できることが望ましいといえます。
法的なトラブルの予防・対策ができる
トラブルでなくても、「契約の締結が間近に迫っているが内容に不安がある、でも取引先を待たせることもできない、早急に契約書の内容をチェックしてほしい」ということは日常でもあるのではないでしょうか。
顧問弁護士として受ける相談内容を挙げると、取引先との契約書のリーガルチェック、顧客からのクレーム、不当な要求に対する対応、売掛金等の債権回収、従業員とのトラブルが多いです。
特に契約書のリーガルチェックについては最もよく受ける相談であるため別のコラムで解説しますが、このように身近なところに紛争の種は存在します。会社としてどれほど誠実に対応していても、トラブルに巻き込まれることはありますので、「備えあれば患いなし」です。
最近では、インターネットで誰もが気軽に法律知識を調べることができるため、権利意識が高まっていること、他方で、不正確な情報があることなども顧問弁護士が必要となる理由の一つです。
以下は、弊所が顧問契約をしている会社様からよくあるご相談です。
- 契約書のリーガルチェックをお願いしたい
- 契約書を作成してほしい
- 契約書の内容を変更する覚書を作成してほしい
- 顧客からクレームがあり、どのように対応すればよいかアドバイスがほしい
- 取引先とのトラブルがあり、法的にどちらが正しいのか教えてほしい
- 顧客からの入金がないため、回収してほしい
- 解雇したい社員がいる
- 退職する社員から金銭を要求されている
事業外の法律相談もできる
事業に限らず、日常生活において様々な法的トラブルに遭遇することがあります。相続(遺産分割)、交通事故、離婚(男女問題)などです。このような事業とは関係のない相談についても、弊所では顧問契約内のサービスとして提供しているので無料です。
法務にかかるコストを抑えられる
顧問弁護士の費用相場は、月額3万円程度からが一般的です。スポットでの相談には相談料がかかるほか、電話やメールでの相談は原則として受けていない弁護士も多いです。
この点、顧問弁護士の場合は、電話やメールでの相談が受けられることが多いですし、顧問契約の内容によっては、契約書のリーガルチェックも無料となる場合が多いです。
弁護士費用は経費として参入できることからしても、費用対効果は十分あるのではないでしょうか。
自社にフィットしたアドバイスが受けられる
長くお付き合いさせていただくことで、会社の特性、事業の特性についても共有できますので、それぞれの会社様に合ったより質の高いリーガルサービスを提供することにもつながると考えています。
心理的にも経営者をサポートできる
よく経営者は孤独だと言われますが、それは相談できる相手が身近にいないからではないでしょうか。もちろん家族や知人に相談できたとしても、法的な正解を求めることは難しいでしょうし、家族・知人といった身近な存在であるからこそ相談しにくい場面もあります。
その点、顧問弁護士は、身近な存在であるものの、法的なアドバイスをすることがメインであり、かつ守秘義務を負いますので、相談したことで情報が外に漏れる心配もありません。
ある意味、適度な距離感で、心理的なサポートが可能といえます。
顧問弁護士のデメリット
顧問料は継続的な経費になるため、会社にとって一定の負担があることは否定できません。
もっとも、経営者や社員の方がトラブルの法的な部分についてインターネットで調べて考えたり、合意書、契約書の内容を考える時間を考えれば、顧問弁護士に外注してしまい、本来の仕事に専念していただくことで、容易に回収することのできる費用感であるともいえます。法務部の社員を一人雇用することから考えても、決して高い出費ではないと思います。
顧問弁護士の注意点
利用頻度は適切か
「顧問先を変更したい」という相談を受けることがありますが、このような場合、気軽に連絡ができないために利用頻度が著しく低いといった傾向が見られます。
気軽に相談するための顧問弁護士のはずが、心理的な距離が空いてしまうと、合理的に活用できなくなってしまいますので、顧問弁護士は気軽に相談できることが重要であるといえます。
顧問弁護士の活用事例
事例1:取引先との間で小さなトラブルがある
「取引先の会社との契約が解除になり、代金の返金を行うか、行うとしていくら返金するか」という点についてトラブルがあるとのことで相談を受けました。
このときは、代理人として介入することはせず、常に相手方への回答方法についてアドバイスし、相手方も代理人弁護士が出てくることはありませんでした。相手方にも後ろに弁護士がいた可能性はありますが、表面的には当事者同士で円満な解決に至りました。
事例2:少額だが、取引先からの支払いが滞っている
「取引先からの支払いが滞っている」という相談を受けました。事案については、以前から相談を受けていたため、数日中に内容証明郵便にて支払いを促し、迅速に回収するに至りました。
事例3:日常的なリーガルチェック
事件ではないですが、弊所が顧問をしている会社様の中では、特に具体的な不安がなくても、取引先との契約の際には、「自社に著しく不利な条項がないか」といった確認のために、必ずリーガルチェックを依頼される会社様もいらっしゃいます。
まとめ
以上、顧問弁護士のメリット、デメリット、活用事例等を解説しました。弊所でも顧問契約のサービスを提供していますので、費用感など、お気軽にお問い合わせください。会社様の規模等に応じたサービス内容をご提案させていただきます。