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2021.02.27

相続法改正① 遺言制度の見直し

平成30年7月、約40年ぶりに相続法の改正がありました。

相続のご相談を受ける際、改正法についてご質問を受けることが多いので、本コラムでも、相続法の改正点について、少しずつ解説していきたいと思います。

遺言制度の見直し

法務局での自筆証書遺言の保管

遺言というと、主なものとして、公証役場で作成する「公正証書遺言」と、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、印鑑を押して作成する「自筆証書遺言」があります。

この自筆証書遺言は、簡易に作成できる反面、偽造や破棄といったリスクがあったのですが、平成30年の相続法改正によって、自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことが可能になり、これらのリスクを予防できるようになりました

申請方法

(1)自筆証書遺言を作成する。

全文、日付、氏名を自書し、印鑑を押す必要がありますが、後述のとおり、今回の相続法改正によって一部の要件が緩和されています。

(2)自筆証書遺言を預ける遺言保管所を決める。

遺言を持ち込む場所は、以下のいずれかを管轄する遺言書保管所になります。

  • 遺言者の住所地
  • 遺言者の本籍地
  • 遺言者が所有する不動産の所在地

ただし、遺言者の作成した他の遺言書が遺言書保管所に保管されている場合は、当該遺言書保管所になります。

(3)申請書を作成する

(4)保管の申請の予約をする。

(5)保管の申請をする。

以下の書類を提出する必要があります。

  • 自筆証書遺言
  • 申請書(法務省のHPからダウンロードできるほか、法務局の窓口にも備え付けられています)
  • 添付書類(本籍の記載のある住民票の写し等(作成後3か月以内))
  • 本人確認書類
  • 手数料(収入印紙 3900円)

(6)保管証を受け取る

変更の届出

遺言者は、氏名、住所等の変更が生じたときには、遺言書保管官に届出をする必要があります。

相続人からの確認方法

(1)遺言書保管事実証明書

特定の遺言者について、その者が亡くなっている場合に限り、自分を相続人等とする遺言書が保管されているか否かの確認ができます。

全国の遺言書保管所で交付の請求ができ、その際には、請求書のほか、遺言者の相続人であることを確認できる戸籍謄本等、添付書類が必要になります。

(2)遺言情報証明書

遺言者が亡くなっている場合に限り、遺言書保管所に保管されている遺言書の内容の証明書を取得することができます。

全国の遺言書保管所で交付の請求ができ、その際には、法定相続情報一覧図の写し等の添付書類が必要になります。

(3)遺言書の閲覧

モニターによる閲覧は、全国の遺言書保管所でできます。

遺言書原本の閲覧は、遺言書の原本が保管されている遺言書保管所でのみでき、請求書と添付書類が必要になります。

通知

関係遺言書保管通知

遺言書保管所に保管されている遺言書について,遺言者の死亡後,相続人等が,遺言書を閲覧したり,遺言書情報証明書の交付を受けたときに,その他の関係相続人等に対して,遺言書保管所に遺言書が保管されている旨が通知されます。

これにより,全ての関係相続人等に遺言書が保管されていることが伝わることとなりますが、誰かが閲覧等をしなければ、遺言者が死亡してもこの通知は実施されません。

死亡時の通知

遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合に,あらかじめ遺言者が指定した者に対して,遺言書が保管されている旨を通知するものです。

上記の関係遺言書保管通知を補うものとして、遺言者の死亡の事実を把握することが可能となります。

従来の自筆証書遺言との違い

従来の自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認手続きが必要とされていましたが、この制度を利用した自筆証書遺言は検認手続きが不要とされています。

「検認」とは,相続人に対し遺言の存在や内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造や変造を防止するための手続です。

遺言書を発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認の請求をしなければなりませんが、法務局に保管された自筆証書遺言については、その必要がありません。

その他(手書き要件の緩和)

法務局での保管の有無にかかわらず、相続法改正によって、自筆証書遺言の手書き要件が緩和されました。

具体的には、自筆証書遺言は全文を自書する必要がありましたが、遺言書の本文と相続財産の目録とを分けて考え、遺言書の本文は自書する必要があるものの、財産目録については自署する必要がなくなりました。

もっとも、財産目録の頁には署名押印する必要があります。例えば、相続財産の目録をパソコンで作成する、他人に代筆してもらうなどして、自身は署名押印のみするといったことが可能になります。

まとめ

相続法改正による遺言制度の見直しについて、簡単に解説しました。

遺言を書くか悩んでいる方、遺言を書きたいがどの方式によるべきか悩んでいる方、遺言書の内容について悩んでいる方、お気軽にご相談ください。

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