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2021.02.27

相続法改正② 遺留分制度に関する見直し

平成30年7月、約40年ぶりに相続法の改正がありました。

相続のご相談を受ける際、改正法についてご質問を受けることが多いので、本コラムでも、相続法の改正点について、少しずつ解説していきたいと思います。

遺留分制度に関する見直し

従前の遺留分減殺請求権による弊害

従来の相続法では遺留分減殺請求権は目的物の返還請求権でしたので、例えば不動産を遺留分減殺の対象とした場合、遺留分権利者と受遺者等との間で共有状態が生じることになりますが、これは売却等の支障となっていました。

もちろん共有持分を売却することは可能ですが、一般的に買い手が付きにくいでしょうし、金額も落ちる可能性が高いです。

共有状態を解消するには、最終的には共有物分割請求訴訟を提起する必要があるなど、紛争の長期化の一因となっていました。

例えば、被相続人が事業を行っており、事業承継のために事業資産を遺贈した場合でも、遺留分減殺請求がなされると事業資産が共有状態となるなど、事業の継続が困難になるおそれもありました。

遺留分減殺請求権から遺留分侵害額請求権へ

今回の相続法改正によって、遺留分は金銭の支払請求権とされましたので、遺留分の権利を行使しても共有状態にはならず、遺留分権利者が金銭債権をもつにとどまることになりました(民法1046条1項)。

特別受益の取扱い

従来の相続法では、遺留分算定の基礎に算入する贈与について、相続人に対する特別受益となる贈与については期間制限がなく、大昔になされた贈与でも遺留分算定の際に考慮することになっていました。

この点についても、今回の相続法改正によって、「相続開始前の10年間」になされた贈与に限定されることになりました。

つまり、相続人が相続開始前10年より前に贈与を受けていたとしても、原則として遺留分算定の基礎には算入しません(民法1044条3項)。

「原則として」というのは、被相続人と贈与を受けた者が、遺留分権利者に損害を加えることを知って行なった場合には、相続開始前10年より前の贈与でも遺留分算定の基礎に算入することになるという例外があるためです(民法1044条第1項後段)。

いつから適用されるか

この改正は、令和元年(2019年)7月1日以降に発生した相続に適用されます。令和元年(2019年)7月1日より前に発生した相続については適用がないので注意が必要です。

負担付贈与の取扱い

被相続人から相続人への生前贈与等が遺留分算定の基礎に算入されるとして、贈与であるが負担の付いたものをどのように取り扱うかという問題が出てきます。

従来から、負担控除後の残額を遺留分減殺の対象とするという点は見解が一致していましたが、遺留分算定基礎財産に加算する金額については、贈与の金額なのか、贈与の金額から負担を控除した残額なのか、解釈が分かれていました。

今回の相続法改正では、後者の解釈が採用され、贈与の金額から負担を控除した残額を遺留分算定基礎財産とすることになりました(民法1045条1項)。

不相当な対価による有償行為の取扱い

例えば、時価相当額が3000万円の不動産を100万円で譲渡するなど、不相当な対価による有償行為というのは親族間において見受けられることがありますが、この場合、不相当な対価で譲渡を受けた者は、実質的には相当額との差額について贈与を受けたとみなすことができます。

したがって、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなすことができます(民法1045条2項)

まとめ

遺留分制度に関する見直しについて解説しましたが、遺留分は計算も複雑となることが多く、専門家のサポートを受ける必要のある分野といえます。

弊所では、相続に関する事件も多く取り扱っていますので、ご不明な点などありましたらお気軽にご相談ください。

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