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2021.03.10

借金の相談をする際に知っておきたい債務整理のメリット、デメリット

現在、新型コロナウイルスの感染拡大によって日本経済にも少なからず影響が出ており、それに伴って収入が減少してしまった個人の方や、売上げが減少してしまった経営者の方などから債務整理のご相談を受けることが多いです。

今回のコラムでは、被災ローン減免制度、従来からの主要な債務整理の方法である、任意整理、自己破産、個人再生について、それぞれのメリット、デメリット等を簡単に解説しておきたいと思います。

その中でも特にご質問が多い自己破産については、別のコラムでも詳しく解説したいと思いますので、併せてご覧ください。

被災ローン減免制度

概要

平成28年4月1日から「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(被災ローン減免制度)の運用が開始されました。

この制度は、一定の要件のもと、自然災害の影響により、従前の住宅ローン等の支払が困難となった被災者について、住宅ローン等の債務の減額や免除が認められるものです。

令和2年12月1日から、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(コロナ版ローン減免制度)が運用開始になりました。

新型コロナウイルスの影響での失業などによって、債務の返済が困難になった個人・個人事業主の方について、債務の減免が受けられるというものです。

対象となる債務

令和2年2月1日以前に負担していた債務、または令和2年10月30日までに新型コロナ対応のために負担した債務

メリット

弁護士等の登録支援専門家による手続支援を無料で受けられること

ブラックリストに登録されないため、その後の借入れの可能性が残ること

費用

裁判所への申立費用等、実費がかかりますが、登録支援専門家の支援に費用はかかりません。

手続きの流れ

利用の申出

最も多額のローンを借りている金融機関等へ、ローン減免制度の利用を申し出る。

金融機関による同意書の発行

制度が利用できないことが明らかな場合を除き、申込から10営業日以内に金融機関から「同意書」が発行される。

弁護士会へ必要書類を提出

弁護士会に「同意書」と「登録支援専門家委嘱依頼書」を提出する。

債務整理の申出

登録支援専門家が全ての借入先に債務整理を申し出て、申出書のほか財産目録などの必要書類を提出する。

調停条項案の作成・提出

「登録支援専門家」の支援を受けながら、全ての借入先と協議し、債務整理に関する調停条項案を作成し、提出する

特定調停の申立て

全ての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てる

調停条項の確定

調停条項が確定すれば債務整理が完了するため、調停条項の内容に応じて弁済する。

任意整理

「債務」整理と似たような言葉ですが、「任意」整理というのは、「債務」整理の方法の一つです。

具体的には、弁護士が債務者に代わって債権者と交渉し、月々の返済額を減らす、将来分の利息を免除してもらうなどの方法で、現実に返済していくことができるように返済計画を見直します。

メリット

柔軟な解決

裁判所の関知しない手続きで、債権者との交渉しだいですので、柔軟な解決を図ることができます。

各種の制限がないこと

裁判所の手続きではないため破産管財人による調査がなく、職業や住居の制限もありません。官報に載ることもありません。

デメリット

ブラックリストへの登録

弁護士が債権者に対して受任通知(介入通知)を送付することで、信用情報機関に事故情報としての登録、いわゆるブラックリストに登録されますので、一定期間、新たな借入れをすることが難しくなります。

これは、以下の自己破産や個人再生においても同様です。

強制力がないこと

強制力のない手続きですので、債権者に対して和解を強制することはできません。

債務が大きく減ることはないこと

返済計画を見直すことがメインですので、債務額を大幅に圧縮することは難しいです。

自己破産

最もよく知られた債務整理の方法だと思います。

自己破産とは、債務者に財産があればそれを換価した上で債権者に公平に弁済し、残った債務については支払いを免除してもらうという手続きです。

財産の換価といっても、生活必需品など全ての財産が換価されるわけではなく、法律で定められた基準等にしたがって判断されることになります。一つの基準としては、20万円を超える財産か否かです。

メリット

強制執行等の停止

手続き開始後は、給与の差押えといった強制執行ができなくなります。

免責

残債務の支払いが免除されれば、債務者は借金から解放されるわけですから、これは一番のメリットであり、自己破産の大きな特徴です。

デメリット

官報への掲載

国が発行する官報に掲載されることになりますが、普段から官報を見る人は多くないでしょうから、そこまで大きなデメリットではないかもしれません。

職業の制限

自己破産手続き中、警備員や保険外交員など、一定の職業に就くことができません。もっとも、免責が許可された後は、この制限は解除されますので、あくまで一時的な制限といえます。

一定の財産の処分

上記のとおり生活必需品など全ての財産が処分されるわけではなく、法律で定められた基準にしたがって、一定の高額な財産が処分されるというイメージです。

破産管財人による郵便物の調査

ただし、自己破産手続きでは、破産管財人が選任される管財事件と、破産管財人が選任されない同時廃止事件とがあり、必ず破産管財人が選任されるわけではありません。

引越しの制限

自己破産手続き中は、自由に引越しすることができません。もっとも、裁判所の許可を受ければ引越しも可能となりますので、引越しが絶対に不可能というわけではありません。

免責が許可されない場合があること

別のコラムで説明しますが、破産法には免責不許可事由というものが定められていて、これに該当する事由がある場合(例えば、ギャンブルによって多額の借金をつくってしまった場合など)、免責が認められないことがあります。ただし、免責不許可事由があったからといって必ず免責が認められないわけではありません。

ブラックリストへの登録

弁護士費用以外にお金がかかる

別のコラムで解説しますが、自己破産手続きには、破産管財人が選任される管財事件と、破産管財人が選任されない同時廃止事件とがあり、管財事件の場合には、裁判所によりますが、概ね20万円~の予納金を裁判所に納める必要があります。同時廃止事件の場合には、1万円程度です。

同時廃止事件と管財事件の振分けですが、これも裁判所によりますが、20万円以上の財産(現金は33万円以上)がある場合、法人とともに申し立てる場合、明らかな免責不許可事由がある場合などは、管財事件になる可能性があります。

免責されない債務があること

罰金や税金など国や地方自治体への債務の多くは免責されないので注意が必要です。これ以外にも、養育費の支払い債務など、破産法253条1項ただし書各号に列挙されています。

※戸籍・住民票に載る、選挙権が制限されるなどということはありません。

※会社を解雇されることもありません(正確には、自己破産を理由とする解雇は認められません)

保証人、連帯保証人への影響

自己破産によって免責決定が得られたとしても、保証人、連帯保証人の責任までなくなるわけではありません。逆に、自身が保証人、連帯保証人になっていた場合、主債務者が破産しても安心できるわけではありませんので、注意が必要です。

個人再生

裁判所に申立てをし、債務を圧縮させた上で、残債務を返済していくものです。

メリット

債務を圧縮できること

住宅を残すことができる場合があること

住宅ローンがある場合でも、住宅資金特別条項を用いて、住宅ローンは従来どおり返済し、他の債務は圧縮した上で返済していくことができます。この理由で個人再生を選択される方は多いと思います。ただし、住宅ローンであっても、当該不動産に住宅ローン以外の抵当権が入っている場合など、認められない場合もあるので注意が必要です。

財産を処分する必要がないこと

免責不許可事由があっても利用できること

デメリット

官報への掲載

定期的な収入が見込まれる者など利用できる者に制限があること

任意整理や自己破産に比べて手続きが難しいため、費用や時間がかかること

ブラックリストへの登録

まとめ

債務整理の主要な3つの方法について簡単に解説しました。

いずれの方法を選択するのがよいかについては、具体的な状況を踏まえて検討することになります。

弊所では、債務整理のご相談に限り、初回30分無料にて承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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