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2021.05.30

秘密保持契約書(NDA)とは?秘密保持契約の内容や重要性について解説

秘密保持契約とは、企業が取引をする際に自社の秘密情報を開示する必要がある場合、当該取引の相手方から秘密情報が流出することのないよう使用の範囲や適正な管理等を義務付けるための契約です。

また、企業の内部においても、社員との間で秘密保持契約を締結するなど、利用される場面は多岐にわたります。

NDAと呼ばれることもありますが、non-disclosure agreementの略になります。

秘密保持契約書の内容

秘密保持契約とは、具体的には何を規定するのでしょうか。

取引の内容によって変わりますが、一般的には以下のような内容を規定することが多いです。

また、経済産業省からも参考条項が公開されています。

秘密情報の定義

何が秘密情報に該当するのか特定しておかなければ、契約の意味を失いかねません。

例示する方法、包括的に記載する方法がありますが、いずれにしても秘密情報に該当するか否かが開示者においても受領者においても明確である必要があります。

また、該当性が明確でない秘密保持契約を締結することは、結果的に当事者間に過度な制約を与えることにもなるでしょう。

秘密情報の開示の範囲、管理方法

秘密情報の受領側において、当該情報に触れることのできる者を役員に限定するのか、一定の従業員も含めるのか、さらには関連会社やコンサルタントといった社外の者も含めるのかといったことです。

秘密情報が流出した際の対応方法

秘密情報が流出した際、開示者としては、なるべく早く事態を把握する必要があるため、受領者からの報告を速やかに行ってもらう必要があります。文書によるのか、電子メール等によるのか、具体的な連絡方法を予め規定しておくことが考えられます。

また、情報流出に伴う損害賠償の内容、範囲についても規定する場合があるでしょう。

秘密情報の返還方法

契約期間の終了など秘密情報を返還する際の方法も規定しておくべきです。

また、その際には、受領者において情報を廃棄した旨の確認書を交付してもらうことも一般的です。

有効期間

秘密保持契約の有効期間です。条項によっては有効期間後も効力を残すといったように個別の取扱いを規定することもあります。

裁判所の管轄

秘密保持契約に関して紛争が生じた場合に、どこの裁判所で裁判を行うかの合意です。

秘密保持契約書の重要性

秘密保持契約の意義としては、以下のようなことが挙げられるでしょう。

  • 秘密情報の流失を未然に防ぎ、万が一の際も流出を最小限に食い止める
  • 秘密情報の定義を明確化させることで、当事者間に過度な制約が及ばないようにする
  • 不正競争防止法の営業秘密の要件の一つである「秘密として管理されている」ことに該当させることで、同法による保護も及ぼすことができる

社内における秘密保持契約

企業間の取引だけでなく、社内においても会社と従業員との関係で秘密保持契約を締結する必要がある場合もあります。

採用時に「秘密保持誓約書」という形で取り付ける場合が多いかと思いますが、秘密保持に加えて、従業員との関係では、さらに以下のような条項が入る場合があります。

  • 在職中、退職後〜年間の競業避止条項
  • 自社社員の引抜禁止条項
  • 退職後に会社の信用を貶めるような言動を禁止する条項

不正競争防止法とは?

営業秘密に関しては、不正競争防止法にも関連する規定がありますので、ここで簡単に解説しておきます。

不正競争防止法の目的

不正競争防止法は、「事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」ものです(不正競争防止法第1条)。

営業秘密の不正使用等については、この不正競争防止法によっても民事上、刑事上のルールが定められています。

不正競争防止法における「営業秘密」とは?

不正競争防止法では、保護を受けるための営業秘密について、以下のように定義されています。

「この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう」(不正競争防止法第2条第6項)。

不正競争防止法による民事上、刑事上の規制

例えば、営業秘密を保有する事業者からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為は「不正競争」に該当します。

そして、この「不正競争」によって営業上の利益を侵害された場合、不正競争を行った者に対して損害賠償請求することができます(不正競争防止法第4条)。

また、以下のような行為には刑事罰も規定されています。

「営業秘密を営業秘密保有者から示されたその役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。次号において同じ。)又は従業者であって、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、その営業秘密を使用し、又は開示した者(前号に掲げる者を除く。)」(不正競争防止法第21条第1項第5号)

不正競争防止法については、解説すべき点が多岐にわたるため、改めて別のコラムで解説する予定です。

まとめ

秘密保持契約書(NDA)の内容や重要性について解説しました。

当事務所では、秘密保持契約書の作成やチェックまで行うことができますので、費用や納期などお気軽にお問い合わせください。

また、顧問契約を締結している会社様は契約書のリーガルチェックを無料で行っておりますので、併せてご検討ください。

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