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2022.04.13

フランチャイズのトラブル(違約金や競業避止義務)について、弁護士の法的な視点から解説(前編)

フランチャイズとは、フランチャイザー(本部)が、自らの有する事業ノウハウを提供するのに対して、フランチャイジー(加盟店)が加盟金やロイヤリティといった対価を支払うことによって成り立つ契約のことをいいます。

フランチャイジー(加盟店)としては、新規の事業を行うにあたって初めからノウハウや経営指導を得られることから、円滑に事業を開始、継続することができ、フランチャイザー(本部)としては、自らのノウハウを提供することによって、他人の資本やリスクによって事業規模を拡大させ、安定的な利益をあげることができるといったメリットがあります。

フランチャイズに関するトラブル

このフランチャイズ契約を巡っては、トラブルも多いです。

フランチャイズ契約は、通常は年単位の期間が定められており、期間途中の解約には違約金が設定されていたり、また、契約終了後には、同種の営業を禁止するいわゆる競業避止義務が設定されていることがあります。

この違約金が高額であったり、競業の範囲が広く、長期間にわたる場合などには、フランチャイジー(加盟店)から異議を述べられ、また、これに従わないことから、フランチャイザー(本部)が違約金等の支払いを求めて訴訟に発展するケースがあります。

そこで、本コラムでは、フランチャイザー(本部)、フランチャイジー(加盟店)どちらの立場の方にとっても参考になるように、典型的な問題について法的に解説したいと思います。

フランチャイザー(本部)の方のお悩み

フランチャイズに関して、フランチャイザー(本部)の側からは、以下のような内容のご相談をお受けすることが多いです。

  • フランチャイジー(加盟店)との契約書のリーガルチェックをしてほしい
  • フランチャイジー(加盟店)から加盟金の返還を求められている
  • フランチャイジー(加盟店)がロイヤリティの支払いを滞らせている
  • フランチャイジー(加盟店)から解約を求められている
  • フランチャイジー(加盟店)との契約が終了したが、同種のお店を近隣に出店された

以下、それぞれについて説明していきます。

フランチャイジー(加盟店)との契約書のリーガルチェックをしてほしい

フランチャイズ契約に限ったことではありませんが、契約書は、特にトラブルになった際に重要な意味をもつことになります。

フランチャイズ契約についていえば、契約期間をどのくらいに設定するか、期間途中に解約の申し出があった場合どうするか、契約終了後の競業をどの程度規制するか、フランチャイザーとしてどこまでの指導義務等を負うか、といったことです。

また、契約書に定めておけば、どのような規定でも有効というわけではありませんので、法律や過去の裁判例に照らして合理性の認められる範囲にする必要があるでしょう。

フランチャイジー(加盟店)から加盟金の返還を求められている

フランチャイズ契約における加盟金は、ロイヤリティに比べて大きな金額になることが多く、何らかの理由で開業することができなかったり、開業したものの早期に閉業した場合などにおいて、フランチャイジーから返金を求められることがあります。

契約書において加盟金は返還しない旨が定められていることも多いですが、必ずしもこの契約書の記載のみで問題を解決できない場合があるため、詳しくは後ほど解説します。

フランチャイジー(加盟店)がロイヤリティの支払いを滞らせている

フランチャイジーからロイヤリティの支払いがないというのは、フランチャイジーの経営が悪化しているか、または、フランチャイジーがフランチャイザーに対して何らかの不満を持っているから、といったことが予想されます。

後者については、フランチャイザーも、フランチャイジーに対するノウハウの提供や経営指導に関する義務を負う場合が多いので、日頃から義務違反を指摘されないような対応が必要となるでしょう。

また、万が一訴訟等になった場合には、事実関係について争いになることもありますので、証拠化しておく、後から検証できるようにしておくことも重要かと思います。

フランチャイジー(加盟店)との契約が終了したが、同種のお店を近隣に出店された

フランチャイジーとの間で契約終了後の競業避止義務が定められている場合、営業の差止めや損害賠償請求を検討することになるでしょう。

ただし、後述のとおり、どのような規定でも有効というわけではないため、競業避止義務を定めた規定の有効性を争われる可能性があることは認識しておく必要があるでしょう。

フランチャイジー(加盟店)の方のお悩み

フランチャイズに関して、フランチャイジー(加盟店)の側からは、以下のような内容のご相談をお受けすることが多いです。

  • フランチャイザー(本部)が経営指導などのサポートをしてくれない
  • フランチャイザー(本部)との契約を終了させたい
  • フランチャイザー(本部)との契約終了後、近くに同種のお店を出しても大丈夫か
  • フランチャイザー(本部)との契約書のリーガルチェックをしてほしい

以下、それぞれについて説明していきます。

フランチャイザー(本部)が経営指導などのサポートをしてくれない

多くのフランチャイズ契約において、フランチャイザーからのノウハウの提供や経営指導が約束されています。このような規定がある場合、これらはフランチャイザーの義務となりますので、フランチャイジーとして、経営指導等を求めることは正当なことですし、それでもフランチャイザーが応じない場合には、金銭での解決が必要になる場合もあるでしょう。

フランチャイザー(本部)との契約を終了させたい

多くのフランチャイズ契約において、フランチャイズ契約の期間が定められており、途中解約の場合には違約金が定められていることがあります。

この違約金の支払いをめぐってはトラブルも多いため、後ほど詳しく解説します。

フランチャイザー(本部)との契約終了後、近くに同種のお店を出しても大丈夫か

多くのフランチャイズ契約において、フランチャイズ契約中または契約終了後において、一定の期間、一定の場所において、フランチャイズにかかる事業と同種の事業を営むことを禁止し、実際に競業が行われた場合には損害賠償義務が生じることを定める規定があります。

この点も、上記の途中解約の違約金の問題と同じく、非常にトラブルが多いので、後で詳しく解説します。

フランチャイザー(本部)との契約書のリーガルチェックをしてほしい

当たり前のことかもしれませんが、契約書は重要です。

後述のとおり、契約期間途中の解約に伴う違約金や競業避止義務違反に基づく違約金については、その有効性が争われることがあります。

この点、契約の時点で、双方がきちんと契約書の内容を確認し、納得した上で契約した場合には、トラブルになる可能性も低いでしょう。

往々にして、フランチャイザーから提示された契約書にそのままサインし、トラブルになった際に契約書をよく見ると、自身に不利な内容であったことが判明することが多いので、トラブルを未然に防ぐためには、契約書を理解して、自身に不利な内容があれば修正を依頼することが重要です。

前編では、フランチャイズ契約でよくみられるトラブル、お悩みについてお話させていただきました。

後編では、その中でも特にご相談の多い、途中解約の違約金条項や競業避止義務規定の有効性、加盟金をめぐる問題について、解説します。

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